ESOTERIC N-01XD 製品レポート

ESOTERICより新しいネットワークプレーヤー兼D/AコンバーターのN-01XDが発売となりました。こちらのモデルはネットワークプレーヤーとして発売されたN-01、そしてD/AコンバーターD-02Xの後継モデルとしての位置づけとなります。

ESOTERIC N-01XD ネットワークDAC

定価¥1,500,000(税別)

前モデルのN-01は多くのデジタル入力を持っておりましたが、ネットワークプレーヤーとして前面に押してしまい、D/Aコンバーターとしてのイメージがつかなかった部分もあったかと思います。そこで今回はNetwork DACと銘打っております。

海外製品のdCSはD/Aコンバーターを前面に出し、その機能の一つとしてネットワーク対応としており、アメリカのMSB、スイスのCH PrecisionはD/Aコンバーターにオプションモジュール(ボード)をつけることでネットワーク対応になっております。

今回ESOTERICとしてはカテゴライズ的にしっかりD/Aコンバーターであるということを意識しております。

ESOTERIC社はD/AコンバーターのGrandiosoD-01XでディスクリートDACをスタートさせました。当時旭化成社とコンビを組んで製品を世に出しておりましたが、オリジナルのFPGAを使用したディスクリート部品で回路を組み上げて新しいD/Aコンバーター部を作り出しました。その2号モデルが一体型CD/SACD PLAYERののGrandioso K1Xになります。

そこから次世代モデルに関して色々な意見がありましたが、D-02Xの後継モデルにディスクリートDACを搭載したモデルを設計するということになりました。ただESOTERICの中ではネットワークプレーヤーのN-01もD/Aコンバーターであるという意識も強く、今回N-01とD-02Xを合わせたモデルということで設計をスタートさせたということです。

さてESOTERICのネットワークプレーヤーの歴史は2016年4月にN-05からスタートし、翌年の7月にフラッグシップのN-01。2018年2月にネットワークトランスポートのN-03Tを発売しております。その時にはN-03T+D-02X そしてN-01との比較など行っております。

その時の記事はこちらになります。

まずはN-01XDの仕様に関してのご説明をさせていただきます。

本体

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フロントパネルのデザインも若干変更になり、アールの部分が緩やかになっております。天板に関しては、GrandiosoK1Xでも採用しておりますが、完全に固定するのではなく、セミフローティングトップパネル構造になっております。

フロントボタンでは、電源スィッチ、INPUTの切り替え、MENUボタン、左右のカーソルボタン、そしてUSB入力端子が装備されております。

背面パネル

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アナログ出力

XLR:1系統(5.0Vrms)
RCA:1系統(2.5Vrms)

MENUにてXLR2(2番HOT)、XLR3(3番HOT)、RCA、ESLINK 切り替え式

デジタル入力

・Network × 1、(ETHERNET)
リニアPCM:44.1~384kHz(16、24、32bit)
DSD:2.8、5,6、11.2、22.5MHz
*32bitは整数型のみ

・ES-LINK 5 × 1系統(DUAL HDMI)
リニアPCM(ES-LINK5)44.1kHz~768kHz(48bit)
DSD(ES-LINK5)2.8MHz、5.6MHz、11.2MHz、22.5MHz

・XLR × 1(ES-LINK/XLR)
リニアPCM:32kHz~192kHz(16、24bit)
DSD:ESLINK1、ESLINK2、DoP (2.8MHz)

・RCA × 2系統
リニアPCM:32kHz~192kHz(16、24bit)
DSD:DoP (2.8MHz)

・OPTICAL × 1
リニアPCM:32kHz~192kHz(16、24bit)
DSD:DoP (2.8MHz)

・USB-B × 1
リニアPCM:44.1~384kHz(16、24、32bit)
DSD:2.8、5,6、11.2、22.5MHz

・USB DRIVE
フロント1系統、リア1系統(USB2.0以上推奨)
クロック
・クロック入力(10MHz/50Ω)1系統
・クロック出力 (44.1kHz、48kHz)1系統

ETC
・SOFTWARE:こちらはサービスマン用の端子となります。
・アース端子

サイズ/重量
サイズ:W445mm×H162mm×D438mm
重量:26.3kg

設定

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MENU1(MENUボタン長押し)
・アップコンバート機能
・クロック設定
・PCMの出力レベル設定(下げることができます)
・出力設定
・ディスプレイの明るさ
・ディスプレイのオンオフ設定
・オートパワーサプライ設定(自動で電源がきれる設定)

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MENU2(MENUボタン長押し後表示が変わったら再度長押し)
・PCM フィルター設定
・DSDフィルター設定
・LAM LEDのオンオフ
・ETHANET使用の有無
・REMOTEのオンオフ
・アップグレード

メーカーサイトはこちら

今回N-01XDを試聴するにあたっての着眼点としては、ネットワークプレーヤーとしてN-01
との違い、そしてD/AコンバーターとしてのD-02Xとの違いになってくるかと思います。

そこで順番に試聴を行いました。

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上から順番に

●N-01XD ¥1,500,000(税別)

●N-01   ¥1,400,000(税別)

●D-02X   ¥1,500,000(税別)

■N-01 VS N-01X

N-01は発売当初から展示を行っておりますが、ESOTERICサウンドの中でも非常に穏やかである意味個性を持っております。販売当時よりDACという位置づけもあり、こちらはD-02Xとの差別化を図る狙いもあったかと思います。高域に関しては張りがあるというよりもやさしく音が消えていき、長時間聴いていても疲れないサウンドです。音像も奥に引っ込み過ぎず程良い位置にあり実在感を保っております。お客様の中ではK-01XSとN-01を併用してご使用されている方もいらっしゃいます。

N-01XDですが、エージングの問題もあるかと思いますが、音の厚みなどはN-01の方が良いのですが、音の色気と空間表現、そして音楽へのアプローチが一聴して違います。特に女性VOCALは顕著です。音の出方は若干奥にいった感じがしますが、ステージ感は広く余韻もあきらかに増えております。ただ迫力や耳あたりの良さはN-01にも魅力を感じますが、絶対的な表現力は明らかに向上しております。
クラシックではステージが奥に広がり、モニター的な表現から音楽的な麗しさが出て、響
きも豊かです。少し着色しているように聞こえる部分もありますが、個人的には好きな
傾向のESOTERICであり、今までのESOTERICの魅力プラス、質と音楽性の高さを感じます。

■N-03T +N-01 VS N-03T +N-01X VS N-03T+D-02X

次にネットワークトランスポートのN-03Tを使用しDACの比較を行いました。再生に関しましてはRoonを使用しておりますが、こちらはプラグラムをいただき対応させております。

私個人的にはN-01単体の音よりもN-01をD/Aコンバーターに使用し、N-03Tをトランスポートに使用したほうがかなり良くなるイメージを持っておりました。しかしこのN-01XDに関しましては、若干の優位性はあるものの価格を考えると単体でも十分のように感じました。

N-03TとD-02の組み合わせは低域のエネルギー感、厚み、ESOTERIC特有の高域といったと
ころでは質実剛健的なサウンドです。ロックやジャズなどの低域の沈み込みはさすがとい
ったところです。ただN-01XDと比較するとそのまじめさが伝わってきます。
ここは好みが分かれる部分でもあるかと思いますが、N-01XDの音楽的な部分が良く解る比較となりました。まだこれから聞き込んでいきたいと思いますが、ディスクリートDACの音の魅力と電源との関係性といった面を非常に感じるところです。

ESOTERICは世代、モデルにより音の傾向が違うように感じます。
時代をさかのぼるとX-01では3世代(Limited、D2)、K-01では2世代(K-01XS)。
世代が新しくなることで音楽的な柔らかさがあるように感じます。ただ一体型のGrandios
o K1は当時P-02XとD-02Xとの差別化を図るために音の傾向を変えたようにも感じます。
N-01も同様にD-02Xと差別化を図るために音色を若干変えております。

このN-01XDはまた一歩進化したESOTERICサウンドが生まれたというイメージを持ちました。実に素晴らしいプレーヤー兼DACだと思います。

今後Amazon Music HDやmora Qualitasなどのストリーミングサービスとの連携が期待されます。

世間をにぎわせているMQAはデータ再生ではフルデコード、デジタル入力側もMQAに対応させております。

さてESOTERICユーザー様に関しましては、時代によってDSDでの伝送が違います。AES/EBU 2本で出力させているモデルに関しましては、SACDの伝送ができません。例えばP-01とN-01XDの接続でDSDを楽しむことはできません。またクロックに関しては10MHz入力になっており、G-0Sなどの使用の場合は非常に面倒になります。

逆に一体型ESOTERICプレーヤーをお持ちの方でモデルによってはAES/EBU端子からDSD信号を取り出すことができ、N-01XDとの接続が可能なモデルもございます。

その辺りを整理したいと思いますが、個別にご相談いただければお調べしてご連絡をいたします。

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最後にGrandiosoK1XのDAC部分で比較を行いましたが、さすがGrandioso K1Xでした。
Grandioso K1Xは定価が280万ですが、やはりDACとしての性能もそれに比例しております。

SACDもしっかり楽しまれたいということでしたら、GrandiosoK1XにN-03Tを組み合わせるというパターンがお薦めになるかと思いますが、ただコストパフォーマンスとしてもN-01XDはしっかり持ち合わせておりますのでご安心ください。

N-01、D-02Xに関しましては、展示品として今後販売をいたしますので、販売終了後比較試聴は難しくなりますので、早めにご試聴いただければと思います。

皆様のご試聴心よりお待ち申し上げます。

*アプリケーション上でヴォリューム機能をONにすることが可能ですが、製品の仕様上こちらのヴォリューム機能はご使用いただけません。

*P-02Xと組み合わせでMQAディスクをお楽しみいただきたい場合はHDMIでの伝送は対応しておりませんので、別途AES/EBUのケーブルが必要となります。P-02X側で出力設定の変更となります。

*Roon対応に関しましては認証待ちとなっておりますが、別途ご相談ください。

2020年1月9日 DYNAMIC AUDIO 島 健悟