VOL. 24 オーディオ評論家 小原 由夫 氏
メーカーのエンジニアさんが続いておりましたが、今回は評論家の小原氏にご協力いただきました。
小原氏が最初にH.A.L.3でイベントを行ったのは太陽インターナショナル主催のイベントでした。おそらく12,3年前ではないかと思います。
ここ最近では2018年の6月に開催させていただいたESOTERICの試聴会の時にインストラクターとしてご参加いただきました。
イベント内容はこちら
昨年の2019年は小原氏とは不思議なご縁をいただきました。
エソテリックのイベントを機にお話をするようになりましたが、何かのきっかけでこのコーナーでも登場いただいたシンガーの和田 明氏を気に入って聞いているというお話をいただきました。小原氏は横浜のジャズ喫茶「ちぐさ」は行きつけということで、そこで優勝した和田 明氏のことを知っていたそうです。そういったこともあり2018年の「音展」の時に和田 明氏と一緒に小原氏にご挨拶に行きました。ただそのことは小原氏には伝えておらず、行った時には公演中ということでそのブースで小原氏の公演を見ておりました。なんと小原氏が和田 明氏のアナログをかけ始めました。この時小原氏は和田氏が来ていることを知らずお互いがサプライズ状態になり、急に和田氏が飛び入り参加という状態になりました。これには私もびっくりでした。
イベント終了後正式に紹介をさせていただきました。
その年の10月には機会をいただき、小原氏のご自宅にお伺いをさせていただきました。私個人的に評論家さん宅にお邪魔するのは初めてで緊張しましたが、素敵な時間を過ごさせていただきました。
小原氏はオーディオだけではなく、ヴィジュアルの評論もされておりますので、まるで博物館にお邪魔させていただいた気分になりました。その節はありがとうございました。
そういったご縁もあり今回小原氏にご協力をお願いをしておりました。
是非お楽しみください。
小原氏セレクト
STAY HOME WITH NICE MUSIC / 小原由夫
私からは、こんな時期だからこそ、人の声で癒されてほしいという思いから、新旧のヴォーカル・アルバムを推薦いたします。できれば3枚ともレコード(LP)で聴いて頂きたい。何故ならば、今こそ改めて音楽を聴くプロセス、レコード再生の所作をじっくり腰を据えて愉しんで頂けたらという思いがあるからです。
私も20代から30代にかけては、聴く音楽の大半をジャズやフュージュンのインストゥルメンタルが占めておりました。しかし、歳を重ねるに従って少しずつヴォーカルものの魅力を実感し始めました。やはり普段から馴れ親しんでいる“人の声”に勝るプログラムソースはありません。同じ楽器でも、吹き方/弾き方ひとつでさまざまな音色が出せると思いますが、人の声はまさしく十人十色。ひとつとして同じものはありません。発音やイントネーション、語尾のニュアンスはもちろん、歌唱力や個性、ジャンルによって、今はさまざまなヴォーカルものを楽しんでいます。
アン・イヴニング・ウィズ・ジョージ・シアリング&メル・トゥーメ
仕事柄さまざまなオーディオ機器に接しますが、初めて接するアナログ関連製品の場合、私はこのアルバムから聴き始めます。
米Concord Recordsは多くの優秀録音を輩 出したレーベルで、この二人による優れたアルバムも数タイトルあります。しかし、演奏・録音ともにお薦め盤ということならば、個人的には本作のライヴ盤に止めを差しますね。
録音は82年4月、米サンフランシスコのホテルのラウンジか何かでしょう。会場のハイソサエティかつアットホームな雰囲気と臨場感も素晴らしいのですが、“ヴェルベット・ヴォイス”と称されたトゥーメの滑らかで潤いのある質感の声と、まろやかで繊細なシアリングのピアノが実にいい空気感を作っています。特にB面2曲目の「バークリー・スクェアのナイチンゲール」における慈愛に満ちた優しい歌声は、ステイ・ホームの今、じんわりと心に染みます。
私の手元にはこのLPが10枚ほどあります。テスト時のリファレンス盤として重用しているので、中古盤店で見付けるとつい買ってしまうんですよ。でもご安心を。ちょくちょく見かけるし、五百円~千円で買えますから。
Another Time,Another Place / Jenifer Warnes
このジェニファー・ウォーンズのアルバムも、ここ3年ほどテスト時のリファレンスにしています。初めにCDがリリースされ、昨年春に重量盤LP、昨年夏頃にSACD/CDハイブリ ッド盤が発売となりました。LPは米Quality Recordsプレスで、厚紙仕様のダブルジャケ ットも含め、とても丁寧な仕事です。
J.ウォーンズはオーディオファィルにはお馴染みの歌手ですね。「フェイマス・ブルー・レインコート」や「ザ・ハンター」をリファレンス盤にしている方は多いのではないでしょうか。本盤は00年リリースの「The Well」以来、18年ぶりのアルバムとのことです。御歳71歳の頃の製作になるのでしょうか?
このA面2曲目の「Tomorrow Night」をもっぱら試聴に使います。冒頭のアコースティックベースのソロの膨らみのある胴鳴り、スネアをこするブラシの質感、間奏部のハモンドオルガンのアーシーな響きやコンガの立ち上がり。実にシンプルな録音で、立体的なステレオイメージの中に各楽器がホログラム的に浮かび上がるかのようです。
そして肝心のJ.ウォーンズの声のそこはかとない色艶と擦れ。ウォームな質感とリアルな音像フォルムを堪能してください。
寡作家ですから、次作は20年後? 90歳の頃かな??
We’ve Just Begun / SINEE EEG & The Danish Radio Big Band/
「シーネ・エイ」と読みます。決して「シャイン・エッグ」と読んではいけません。デンマークを拠点に活躍する女性ヴォーカリストでして、地元のラジオ局お抱えのビッグバンドとの共演作。たぶん5枚目のリーダー作で、こちらも180g重量盤LP、ダブルジャケットという豪華装丁です。
過去のアルバムのしっとり路線とは少々趣きが異なる本作。A面1曲目のタイトル曲の、ダイナミックでしなやかで、なおかつ切れ味鋭いアンサンブルに乗って実にアグレッシブに伸び伸びと歌うシーネにシビレました。仕事柄、トランジェントとかDレンジとか言い たくなるサウンドですが、とにかく音の鮮度が抜群に高く、溌剌とした彼女の歌唱がスピーカー間にスクッと立ち上がる様が、快感この上ないんです。決して大向こうを唸らせるような声量や歌唱力の持ち主ではありませんが、このアルバムが発するドライブ感は、今の悶々とした気分をスカッと晴らしてくれることでしょう。
現在42歳でこの美貌! 私はずっと追い掛けることをここに誓います!?
島コメント
小原先生。お忙しい中ありがとうございました。また昨年はお邪魔させていただき重ねて御礼を申し上げます。。SOULUTIONのパワーとTADのスピーカー。実に素晴らしいサウンドを聞かせていただきました。本当に勉強になります。また機会がありましたらイベントも含めてよろしくお願いいたします。
またお会いできるのを楽しみにしております。
ご協力ありがとうございました。
DYNAMIC AUDIO 5555 島 健悟
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