天ノ視点 -普遍なるもの-

皆様こんにちは。
先日、実家の山梨に法要で帰省した際に、天気が良かったので河口湖まで足を延ばして富士山を見に行ってきました。(本当は吉田のうどんを食べたくて行ったのですが、観光客が少ないためか目当てのお店がやっていなくて…)
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残念ながら、頭には雲がかかっていたのできれいな富士山を見ることはできませんでしたが、やはりデカいですね!高校がこの辺りだったので毎日のように見ていたのに、改めて見るとその存在感に圧倒されます。

さて、只今、4FにはFranco SerblinのKTEMAが来ています。
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今週中にはなくなってしまいますが、改めてこのスピーカーのすばらしさに酔いしれた数日でした。本日の天ノ視点では、改めてこのKTEMAの魅力について、私天野の視点でご紹介していきたいと思います。すでに何度か記事にしたことがありますし、雑誌類でも多く取り上げられている製品の為、今更…と思う方もいらっしゃるかと思いますが、知れば知るほどこのスピーカーの魅力にはまっていく私がいます。その一端でも皆様に伝わればと思いまして…

Franco Serblin KTEMA(クテマ) ¥4,250,000(別/ペア)

<a possession forever>
KTEMAの由来は古代ギリシャの歴史家の言葉“Ktema eis aei( a possession forever:普遍なるもの、永遠の価値 )”に由来しています。
KTEMAが登場したのは、今から遡ること約10年前の2010年の8月。弊社の秋の祭典「マラソン試聴会」で初めてご覧になったという方も多かったのではないでしょうか。今春号のStereoSound誌では表紙を飾り、記事でも紹介がされています。発売から10年が経とうとしている製品が表紙を飾ることなんてこれまで見たことがありません。ちなみに、発売から10年、KTEMAがStereoSound誌の表紙を飾るのはこれが初めてとのことです。
なぜこれほど長くKTEMAが愛されているのか、私天野なりにレビューしていきたいと思います。

・唯一無二のサウンド
他にないんですよね。あえて言えば、やはり現行SonusFaberになりますが、フランコ特有の音作りは練度が上がったパオロ・テッツオンでも同じとはいきません。また、他社メーカーでは、クラシックを鳴らすうえで得意とされるスピーカーはありますが、これほどまでに楽器(特に弦楽器)が楽器らしく音楽を聴かせてくれるスピーカーはありません。B&WやTAD、Magicoのようにより情報量を出してリアルに近づけていくスピーカーはあります。それらに比べると、正しいサウンドなのかと言われると決してそうではありません。私がよくお客様にお話しをするのは、超高解像度カメラで撮影した写真を楽しむのか、巨匠たちが描いた絵画を楽しむのかの違いに近いとお伝えします。これもどちらが良いということではありません。どちらにも良さがあり、観る人、聴く人の楽しみ方によって異なります。KTEMAは間違いなく後者のスピーカーです。もちろん、音楽が変わってしまうほどの色付けではありませんが、晩年の熟練したフランコならではの揺らぎ・陰影・余韻感・深み・響き…これからはおそらく数値には表れないエンジニアならではの感性によって作られるものだと思います。逆に、数値的に最上の優れたものを目指すと、こういったサウンドにはならないのやもしれません。これがKTEMAというスピーカーの最大の特長です。

・後継機種がない
ご承知の通り、製作者フランコ氏は、今から遡ること約7年の平成25年3月31日に病気により他界しています。発表が4月2日だったので一日遅れのエイプリル・フールかな?たちが悪いニュースだなんて思ったのを思い出します。以前から体調が悪いという話は輸入元から聴いていましたが、まさか…でした。飛行機嫌いで知られるフランコ氏は来日したことがほとんどなく、実際にフランコ氏を見たことがある人はあまりいません。フランコ氏亡き後、AccordoやKTEMAは娘婿のマッシミリアーノ氏が受け継ぎ、生産を続けていますし、新しいモデルも発表しています。
Accordo、KTEMA、LIGNEA、Accordo Essence(New)
現在、上記四機種がStudio Franco Serblinとして発表されています。完全にフランコ氏がデザイン・サウンドデザインを行ったものはAccordoとKTEMAになり、LIGNEAはフランコ氏亡き後にマッシミリアーノ氏が、フランコ氏のスケッチを参考に仕上げたモデルです。原案フランコ氏、モデリング・サウンドデザインはマッシミリアーノ氏という感じでしょうか。そして、先月2月末に発表したのが、Accordo Essenceになります。デザイン自体はAccordoのトールボーイ型ですが、これは、マッシミリアーノ氏がすべてを仕上げたモデルになります。もしかすると、今後、KTEMA2等のモデルが発表されるやもしれませんが、現状ではその予定はないとのことです。

・独特のデザイン
普通の形ではないですよね。後方に広がる扇型をしています。通常スピーカーは、フロントにユニットをすべて配置するので、四角形、もしくはフロントから後方にかけて細くなっていきます。このKTEMAはフロントにツィーター・ミッドユニット(×2)を配置、そして背面に20cm径のウーハーを2発搭載しています。背面のウーハーはさらに外面につけられた反射板を伝って、側面に放出されます。
Ktemaの外形寸法

スピーカーの構造としては、かなり異形のデザインになります。スピーカーは異形になればなるほど、位相のズレやクロスオーバーの調整等が難しくなります。例えば、B&WやFocal等の大手メーカーでは、PCを使用して音波や反射音を計測してそれにあったチューニングを施すと思いますが、これは私の勝手な想像ですが、フランコ氏がそういった技術を使ってデザインしたとは思えないんですよね。生涯を通してスピーカーを作ってきたフランコ氏のセンスとカット&トライを繰り返して作り上げてきたスピーカーだと思います。そのため、彼の作るスピーカーは「人間」の音がするのだと私はいつも思っています。(わかりませんよ?もしかすると最新技術を使って作り上げたのやもしれませんよ?)
内側に反った側面と背面のエンクロージャには、楽器の鳴り口のようなスリットが入っています。
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これで反響を調整していると思いますが、この少しの手入れで音のシームレスさが変わってくるのではないでしょうか。また、天板と底板には鏡面仕上げのアルミが使われています。KTEMAの優雅さが引き立つ仕上げですが、音質的には、スピーカーの必要以上の鳴りを抑えているものと思われます。

フロントとウーハーの抜け口にはフランコ氏得意のゴム製のネットが付けられています。SonusFaber時代から採用しているサランネットですが、音質劣化を最小限に抑えつつ、ユニットをを直に見えないようにする配慮はイタリアならではの粋な部分ですね。

<最大のライバルはSTRADIVARI Homage>
すでに生産が終了しているSonusFaberかつてのフラッグシップモデルSTRADIVARI Homage。フランコ氏が作り上げた名作です。
ストラディヴァリ・オマージュ RED色
ほんとたまに中古で出てくることがありますが、すぐに売れてしまいます。
上から見るとラグビーボールを平たくしたような楕円形、面で音場を広げ、やはり独特の響きがあり、このスピーカーも無二のサウンドを持っています。KTEMAの最大のライバルと言っても過言ではないでしょう。豊かな低域もあり、大編成のオーケストラをこれで聴くと、それはそれは気持ちの良いひと時になります。KTEMAとSTRADIVARI Homageの違いについてですが、外観はひとまず置いといて、サウンドですが、サウンドの密度や芳醇な量感に関してはSTRADIVARI Homageに軍配が上がると思います。方や繊細さ、細やかさ、一音の明瞭さ、レンジの広さはKTEMAでしょう。KTEMAはSTRADIVARI Homage誕生から十数年後に発売されましたが、その月日でより洗礼されたサウンドというイメージです。販売が完了になったときに、4FではLA・STRADIVARIと題して試聴会を行いましたが、その時にかけたチャイコフスキーのバイオリン協奏曲は今でも耳に残っています。

以上が、今更KTEMAのご紹介です。
やはり、実際に聴いて頂かないとこの魅力はなかなか伝わりませんね。。。。

冒頭に書いた富士山もですが、このKTEMAも普遍なるものとしてこれからも存在していくでしょう。

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