天ノ視点 -YG Acoustics RACK-

皆様こんにちは。
今年も残すところ、10日あまりとなりましたね。
各団体のイベントも終わり、来年に向けて色々な準備を進めている事と思います。

さて、先日、4Fにはこんな製品が届きました。

「YG Acoustics RACK1.3」
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YG Acousticsと言えば、2002年に創業された、比較的新しいスピ―カーメーカーです。
超級クラスのスピーカーを中心に発表される製品達は、その時の話題に必ず上がる人気メーカーです。
最近では、Sonja2.2がステレオサウンド誌のグランプリにも選ばれる等、勢いが加速の一途をたどっています。

さて、そんなYG Acousticsがラックを作りました。

YG Acoustics RACK価格表

<ハイエンド・ラック>
オーディオ用のラックと言えば、最もお客様に使って頂いているのがQUADRASPIREです。シンプルなデザインと汎用性の高さ、機器の音色を邪魔することのない質、価格等、総合的に判断してお選び頂くことが最も多いメーカーです。同価格帯では、TAOCやTiglon等のメーカーがありますが、ハイエンドオーディオを楽しまれている方の中にはさらなる音質を求める方も少なくありません。そんな方々がかつて好んで使用されていたメーカーでは、ZOETHECUS(ゾーセカス)や Finite Elemente(フィニッテ・エレメンテ)が有名です。両メーカーとも3段ラックで、数十万円というまさにオーディオの為だけに作られたラックですが、音質の向上が多くの方に認められ、販売が終わった今でも、中古市場では、人気のラックです。
他にも、4Fで展示をしていた、イタリアのラックメーカーBassocontinuo(バッソ・コンティニュオ)は日本での扱いが短期間であったにも関わらず、音質もさることながら、デザイン性の高さから導入して頂いた実績も多くあります。

さて、そんなハイエンドラックメーカー達ですが、現在では、メーカーが無くなってしまった所やメーカー自体は存続しているものの、日本での扱いが終わってしまったメーカーばかりになります。その為、クアドラやTAOC以上の質を求めるユーザーの皆さんにご紹介できる製品がありませんでした。

<人気スピーカーメーカーが作るラック>
今回、ご紹介をするRACK1.3は上記の通り、人気スピーカーメーカーであるYG Acousticsが発売したラックになります。YG Acousticsと言えば、がっちりとしたアルミの筐体でユニットの特性を極限まで生かす手法が特徴的なメーカーですが、そこで培われた技術が今回のラックにも生きています。
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・外枠とシェルフの二枚構成
ハイエンドラックと言えば、ゾーセカスもフィニッテもシェルフをアイソレートするのが通例で、RACK1.3も同様です。機器に余計な振動を伝わらせないのと、それぞれの振動を外に漏らさないことが目的です。しかし単純に分けたからと言って良い効果を得られるわけではありません。各メーカー、それぞれの手法で音質の向上を図っています。今回のYG RACK1.3に関して言えば、大きな特長として、ステンレスボールとアイソレータの使用にあると思います。
外枠とシェルフを分ける方法が二つ用意されています。まずはステンレスボールを使った方法。現物が手元にないため写真を載せることが出来ませんが、硬質の球体をはさむ方法、そして、もう一つがアイソレータと呼ばれるゲル状の素材をはさむ方法です。


現在、4FにあるRACK1.3に関してはすべての棚板にアイソレータを使用しています。システムや皆様のお好みにもよるかと思いますが、輸入元としてはアイソレータをまずはおすすめするとの事でした。このステンレスボールかアイソレータを機器の重量やバランスによって、個数や位置を変えることが出来ます。これによって、機器それぞれに適した設置バランスをとることが出来、ひいては他のラックでは出来ない機器本来の持ち味を出せるという事です。
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<スプリング・マス・システム> 輸入元webサイトより
物理学に於いてシェルフ+コンポーネント+アイソレータの機械的アセンブリは「スプリング・マス・システム(“spring-mass-system”)」と呼ばれます。
すべてのスプリング・マス・システムは固有の共振周波数と自然減衰を持っています。
ラック開発にあたり、私たちの目標は設置される各コンポーネントの重量に関わらず、スプリング・マス・システム(シェルフ+コンポーネント+アイソレータ)の共振周波数をまったく同一に保つ事でした。
そして YG ラックに於けるダンピング機能は、私たちの設計した通りに機能しています。
f=1/(2*pi)*(K/m)^0.5
(ここでのfは周波数の単位ヘルツ、piは定数 3.1415926です。Kは1m毎/ニュートンでのスプリングの剛性でmはシェルフ+コンポーネントのkg質量です)
上記の式から分かるように、fを一定に保つためには、K/mの比率を一定に保つ必要があります。もし棚+部品アセンブリの質量が倍になる場合はアイソレータの剛性、すなわち数量を変更しなければなりません。他の殆どのラックではアイソレータの追加や削減が出来ないため、ユーザがラックに設置するすべてのコンポーネントごとに共振周波数が異なってしまいます。
したがって、減衰を完全に最適化する事が出来ないのです。これに対して YG ACOUSTICS 社では、歴代のスピーカー開発に於いて蓄積された共振周波数に対する正確かつ膨大な知識により、調整機能を持たせるにより振動をはるかに確実に減衰させる事を実現したのです。
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私天野としては難しくてよくわかりません…
面白いことに、素材はアルミの為、シェルフや外枠を単体で叩いてみると「キンキン」と鳴りがありますが、適切なアイソレートを行うと鳴りが少なくなります。
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シェルフと外枠は当たらないように置きます。

他にも構造上のこだわりや、足元のスパイクの処理など、いろいろと面白そうな所はありますが、大きな特徴としては上記のような感じでしょうか。

肝心の音色ですが、もともと、使っていたクアドラのQ4D Ventと比較をしてみました。
Q4D Ventはクアドラの中ではハイクラスのラックになり、4段で20万円という、高級ラックになります。自然で機器に色を付けず、おおよそどんなシステムにもマッチする優れたラックです。これをRACK1.3に変えることによって、一聴して音楽に芯が出てきます。スプリング・マス・システムによって、共振は少ないものの、やはりアルミ系の素材なので、少し硬めの音にはなりますが、嫌みなところはなく、明瞭感、輪郭の浮かび上がり等は歴然と異なり、好みによっては、機器をワングレード上げたかのような変化です。面白いのが、セットしてすぐの時と一日置いた後では、音のまとまりが全く異なります。一日置いて、アイソレータがしっかりとなれてくると、全体的に音楽のまとまりが出て、より聴きやすくなった印象です。
このRACKシリーズは1.1~1.4、1.6と段数を増やすことが出来ますが、RACK1.1は一段のみで俗にいうアンプベースになります。その場合、重いアンプを乗せては一日待って、重心を見て、平行が取れていなければ、アイソレータを変えて…という作業が必要になりますが、これは行う必要性を感じました。

と、以上がYG Acoustics RACK1.3の簡単なご紹介になります。
ハイエンドラックが少ない今においては貴重な存在ではないでしょうか。
私個人的には、ラックメーカーではなく、スピーカーメーカーが作ったというところに面白さを感じます。

※新年1月中旬頃までの展示になります。
是非、この機会にご覧ください。

Dynamicaudio 5555 天野
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