天ノ視点 -思い出と調和-

皆様こんにちは。
秋も深まり、街の木々も色づき、音楽を楽しむには最適の季節になってきましたね。

さて、本日の天ノ視点はこんな内容をお送りしたいと思います。

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Sonusfaber GUARNERI Memento(グラファイト) ¥1,850,000(別/ペア)
中古価格¥850,000(別/ペア)

STUDIO FRANCO SERBLIN Accordo ¥1,230,000(別/ペア)

の比較試聴。

言わずと知れたSonusfaberの名機ガルネリ・メメントが中古で入荷しましたので、普段は出来ないこの2モデルの比較試聴を行ってみました。

まず、それぞれの商品説明を…

<Sonusfaber GUARNERI Memento>
ガルネリは、1993年に楽器づくりの先人たちへ捧げる作品の最初の試みとして第一号機のオマージュが作られました。ガルネリ・オマージュをきっかけとして、その後、アマティやストラディバリといった名機が続きますが、このガルネリというスピーカーの存在は、ソナス独特の響きや表現を世界に知らしめる存在となり、現行ソナスの中でも、ハイエンドブックシェルフとして重要な位置づけを担っています。そして、ガルネリ・メメントは、そのガルネリ・オマージュの第二世代目という事で、2005年に登場します。特長的なのは、まずユニットです。2ウェイ2ユニットという構成は変わりがありませんが、ツィーターにはシルクのリング・ラジエーター型ツィーターが採用されています。ドーム型や反ドーム型、もしくはリボンツィーター等が流行っていた当時、リング・ラジエーター型を採用していたのはSonusfaberぐらいではないでしょうか。このリング・ラジエーターは帯域幅と思考特性に優れ、このユニットが発する高域は、品がありながらも力強く、抜けるような張りを持ちます。そして、エンクロージャーで匠にコントロールされた付帯音と相まって、「弦を聴くならソナス」とまで言われるほど、バイオリンやチェロといった弦楽器を鳴らすスピーカーとしては無双の人気を誇りました。足元には、大理石が採用され、どんな床環境においても、パフォーマンスを落とすことなく鳴り(実際にはボード等でも音は変わります)、イタリアならではの木質を生かした美しい仕上げは工業製品の枠を超え、芸術品の域に達します。
その後、フランコ氏はソナスを去り、弟子であったパオロ氏がその意思を受け継ぎ、ガルネリ・エヴォリューションを発表、昨年には現行モデルであるガルネリ・トラディションが発表され、現代でもガルネリの系譜は脈々と続いていきます。

<STUDIO FRANCO SERBLIN Accordo>
発売開始から7年という月日が流れながらも、今でも、各試聴会や雑誌等で取り上げられるフランコ・セルブリン氏最後の完全監修ブックシェルフ型スピーカー「アッコルド」。フランコ氏ならではの独創的な形状とは反し、「調和」という名前が付けられたこのスピーカーは存在もサウンドも、驚くほど人が営む空間に調和します。今や、アッコルドを記事にするには語りつくされたと言っても過言ではなく、私もこのスピーカーを紹介する度にキーボードを叩く指が止まってしまいます。2ウェイ2ユニット、シルク・ドーム型ツィーター、15cm系スライスド・ペーパーコーン型ミッドレンジユニット、クロスオーバー・ネットワークをスタンド部に配置し、ユニットの振動等をアイソレート。筐体からスタンドまで左右の平行面を作らず、自然な空気の流れを作る、しかも、それらはおそらく、コンピューターで解析したものではなく、フランコ氏の感性によって作られている…。
特長を言葉にするとこのようなところですが、このスピーカーには、1980年代にフランコ氏がソナスでスピーカーを作り始め、ガルネリやエレクト・アマトール、ミニマ等の集大成が詰まっているように私は感じます。

<比較試聴>
この二者の比較は、実はありそうでなかった比較です。というのも、アッコルドが発売された当時、ガルネリはすでにパオロ氏が設計したガルネリ・エヴォリューションになっており、ガルネリクラスのスピーカーをご検討されていた方は、アッコルド&ガルネリエヴォ&クレモナMの三者でよく比較を行いました。という事で、ガルネリ・メメントとアッコルド、比較を始めたいと思います。

<試聴曲はこちら>
Hilary Hahn / Plays Bach トラック1 Violon Partita #3 Preludio
「Hilary Hahn / Plays Bach」の画像検索結果
若いヒラリー・ハーンの跳ね回るようなタッチが印象的な一曲、バイオリンの響きも良く出ていて、ソナスの試聴を行うときには欠かせない一曲です。

Diana Krall / Wallflower トラック4 Alone Agein (Naturally)
「Diana Krall / Wallflower」の画像検索結果
多くの方がCDやレコード、ハイレゾ等で持っているこのアルバムから、マイケル・ブーブレの男性ボーカルとデュエットした一曲を選曲。

Mitsuko Uchida / Schbert Piano Sonata No,7 トラック7 Allegro moderato
「Mitsuko Uchida / Schbert Piano Sonata No,7」の画像検索結果
シンプルなピアノの演奏で、システムの良し悪しが素直に出やすい一曲です。時に優雅に、時に侘しく。

<バイオリン>
-ガルネリ・メメント-
まずはガルネリから。
ガルネリの特長であるリング・ラジエーターツィーターの芯のある高域と独特の付帯音が重なり、本物のバイオリンを聴いているかのような生々しさを感じます。弦の少しざらっとした質感さえ感じられ、ソナス=弦の評判も納得の鳴り方です。専用スタンドを使用すると高さは1m23cmになり、ゆったりとしたソファに座ると、少し高域が頭の上に抜けていくような感じがあります。
-アッコルド-
ソフトドームツィーターが採用されたアッコルドのバイオリンは、フランコ氏作の特長である色気を持ちながらも、ガルネリよりも若々しく、張りのある弦を聴かせてくれます。少し線の細さを感じるものの、繊細で、タッチの細部、アーティストの息遣いまで聴こえてきそうな明確さで音楽を楽しませてくれます。

<ボーカル>
-ガルネリ-
ガルネリでは、ダイアナ・クラールの声はハスキーさが増し、マイケル・ブーブレの声は力強さがよりよく感じました。足元がしっかりしているためか、安定感があり、ゆったりと楽しむことが出来ました。密閉型のような密度ではありませんが、音の濃さが空気の揺れのようにも感じます。
-アッコルド-
やはりガルネリに比べると、若々しい印象になります。しかし、情報量の多さ、まとまりの良さ、キレの良さ、明瞭度等はガルネリを圧倒します。多少低域の軽さは感じるものの、不足には感じず、気持ちの良いまとまりのあるサウンドです。

<ピアノ>
-ガルネリ-
ピアノという楽器らしさ、そして、内田光子さんのピアノ演奏に込めた感情のようなものをまるで歌を聴いているかのように感じます。少し高域に癖を感じるものの、不快なものではなく、むしろ、ピアノの中で弦が叩かれ響いている様子が伝わってくるくらい生々しく聴けます。
-アッコルド-
どのような環境で録音されたものかは分かりませんが、とても広がりがあり、一音一音が立ち上がりよく聴こえたかと思うと、すーっと消えていく余韻は天にも昇りそうな心地よさです。分離とまとまりが良く、和音の重なりが心に響く印象です。

<総合して>
-ガルネリ-
トータルで感じた印象としては、現代的なスピーカーと比べると、もう少し高域のレンジが欲しいところではありますが、スピーカーエンジニアとして絶頂期であったフランコ氏ならではの感性が詰め込まれていて、これほどに「歌う」スピーカーは他にないとさえ感じます。箱鳴りであったり、リング・ラジエーターの個性であったり、正確で正しい音かと言われると、決してイエスとは言えませんが、「音楽を鳴らすスピーカー」としての一つの正解を導いているようにも感じました。

-アッコルド-
フランコ氏の感性が生きつつ、ソナス時代からの進化があり、情報量と豊かな音楽性がとてもマッチしたスピーカーです。バチバチ鳴らすブルーノートや、大編成クラシックでは、多少物足りなさを感じるものの、室内楽やボーカルメインの音楽等では、最高のスピーカーではないでしょうか。メインシステムのスピ―カーとしてはもちろんですが、コンパクトシステムで、趣味性高く鳴らしてあげるのも素敵なスピーカーです。振り角の調整等は多少必要ですが、それほど難しいセッティングは必要ありません。

どちらの方が優れているという判断は何を持って比べるかによりますが、総合的に考えれば、私天野としてはアッコルドの方がやはりおすすめです。しかし、ガルネリにしかない情緒的ななり方はまさに唯一無二のものですし、これにハマると他にはなかなか代えられないというユーザー様の気持ちも分かります。
フランコ・セルブリンが手掛けたこの名機二機種。
皆様はどちらを選ばれるでしょう。

比較試聴には事前のご予約が必要になります。
ご興味ある方は、是非天野までご連絡下さい。

Dynamicaudio 5555 天野
amano@dynamicaudio.co.jp
03-3253-5555