ティアックマニュファクチャリングソリューションズ株式会社訪問記

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6月11日にエソテリック(株)のご厚意で東京青梅市にあるエソテリック青梅工場=ティアックマニュファクチャリングソリューションズ株式会社に訪問をさせていただきました。
まず応接室にて、代表取締役社長の伊藤政治氏、専務取締役の高山久氏。そして取締役の加藤徹也氏が出迎えてくれました。加藤氏に関しましては、開発部長ということで、ESOTERICの開発として私もお世話になっております。
まずは応接室にて2時間ほど色々な説明を受けました。

1)会社概要
2009年に新会社として産声を上げております。1982年に創業の(株)セレパス、2002年には(株)タスクと合併。1984年創業の富士吉田ティアック(株)が合併して新会社を設立しました。その後富士吉田にあった事業所を青梅に統合して今にいたります。エソテリックの親会社であるティアック、エソテリックが共同出資する自社工場とのことでした。
こちらの工場はESOTERIC製品はもとより、TEACの業務用計測・情報機器、それだけではなく、他社からの依頼で、厳しい品質基準が要求される基板設計・製造も行っているとのことでした。
医療関係や航空機関連など情報機器事業などはあまり表には出ておりませんが、こういった分野こそ高い技術が求められますが、そういった製品も多く世に生み出しております。
TEACというと色々な方面で活躍しているブランドですが、記録と再生に関わる技術面では日本屈指のブランドで、その技術力はこういった工場の高い技術が支えていると言っても過言ではないということを感じることができました。

2)プリント基板設計生産/生産
・鉛フリー技術
98年より鉛フリー化に取り組み、錫、銀、銅系では50万枚以上を生産。

・大型基板対応
L版(460×360)/XL版(510×460)の大型基板実装に対応

・フリップチップ実装
C4工法によりFlip Chip、PoP混載実装技術にもいち早く着手し、豊富な実績
・SMTラインの湿度管理
超ドライフォグ粒子を発生させラインの湿度を安定化し、静電気による品質障害を防止

・大型基板操作装置
20年以上の外観検査機運用ノウハウを元にしたモニタリング技術で、大型基板でも高品質を実現
・SMTラインのクリーン化
Hepaフィルタを経由した空気を圧送することで実装品質に影響する塵、埃を排除し、
CLASS 50,000以下を実現(=病院のオペ室と同じレベル)

・基板アートワーク設計
長年の実装技術で培った経験を基板設計に活かし、片面フェノールから8層基板、0.5mmピ
ッチBGAにも対応可能

3)光学部品基板設計/生産
・光学部品
多層膜反射ミラー/多層膜ハーフミラー/プリズム/波長板/回析格子板/レンズ

4)磁気ヘッド設計/生産
記録再生各種ヘッド(オーディオ、カートリッジ、マルチチャンネル)磁束検出センサー等。カスタムメードの磁気ヘッドの設計、生産が可能

5)光学部品基板設計/生産
・蛍光X線検査装置
・温湿度試験
・マイクロフォーカスX線検査装置
・EMC試験(ティアック入間事業所)
・マイクロソルダリング技術
プリント基板品質の核となるソルダリング技術向上の為日本溶接協会の認定のマイクロソルダリング技術者並び上級オペレーターを育成
メタルマスク設計、実装設備最適化等の技術サポートを初め、実装だけではなくはんだ付けのあらゆる課題に対応

6)実装基板に於ける高音質化技術
・高音質プリント基板
スルーホールの高品位化として、高平滑スルーホール基板を設計し採用
定評のあるオーディオ回路、パーツを多用しても、基礎となる基板が一般品では真のハイエ
ンドオーディオにはならないという考え

・厚膜基板の採用
厚銅膜基板を採用し、低インピーダンス化

・基板別に最適な銅膜厚を採用

・高音質ソルダリング技術
金属工学を取り入れたソルダリング技術で、合金層を最適化。

ESOTERICで採用されているハンダのは一般的なものではなく、合金層を最適化(薄層化・微細化)させるための殊なはんだになります。
また、ソルダリング時のフラックスによる置換還元作用によって生じる二次生成物である金属石鹸の発生を抑制し、音質劣化を最小限にしている
上記の内容を説明いただきましたが、基板とはんだに関しては、特に勉強になりました。
開発の加藤氏の元にはいくつかの基板が届き、試聴を行うとの事ですが、その音質の違いは露骨にでてくるということです。
またはんだに関しても、特殊なはんだになると融点が高くなり、その分はんだ付けの促進剤であるフラックスを酸化させずに効果を融点まで維持させるための技術も必要になってきます。
話を聞くとやはり設計の裏側には基板も含めた部品の大切だということを感じることができました。
細かいコンデンサー。ルーペで見るとやっと解るレベルです

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ソルダリング技術のコンペで技術者が第3位を獲得した時のたてを見せていただきました。

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次に工場見学になります。
まずは基板に部品をマウントしていくフロア
湿度、温度管理が行われている「クリーンルーム」内で基板に組み込まれていきます。
まず基板にはんだを乗せる工程
特殊な型を使っておりました。

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数台の機器を使って部品を基板に乗せる工程
小さなパーツから組み込んでいき、順番に大きなパーツというふうに流れておりました。

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基板への組み込みが完了

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そして長いトンネルのようなオーブンにいれてはんだを溶かしてソルダリングを行っております。このオーブンは「窒素リフロー炉」と言って、無酸素状態ではんだ付けが可能な設備。普通のオーディオメーカーには無い設備だそうです。

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そこから基板は、映像、拡大鏡を使ってのチェック、そして人の目でチェックされたりと厳重チェックが入ります。

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湿度管理はこちらの機械で管理されておりました。工場内には霧の噴霧器が設置されており、自動的に湿度管理が行われ、常に45%に保たれています。噴霧するのは、「純水」で、下の写真にあるフィルター装置(ろ過機+イオン交換機)で工場内で作っているというこだわり様。ちなみに、ミネラル分が無いため、これで水割りを作ると「マズい」そうです。

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「純水」の噴霧装置。自動で霧を噴霧し、湿度を保ちます。

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違う階では、大型ディスクリート部品の手作業での装着。そして組み立てになります。

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はんだの炉に流されている基板

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VRDSメカは女性の方が組み立てておりました。部品の点数も非常に多く、ピックアップの傾角調整なども含めると本当に大変な作業です。

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シャーシの組み立ては「定盤(平行な台)」の上で組み立てておりました。おそらくネジの締め方も熟年の技ではないかと思います。

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それから完成まで人の手で行われております。
XLRやRCAのジャックは基板へ直接手作業にてはんだ付けされておりました。

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こうやって製品が完成していくわけです。

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そして梱包されたものが皆様の手に届き、そして音楽という世界を皆様に提供してくれております。

製品というのは設計者だけではなく、こうやって作り手の高い意識から生まれてくるものであるということを実感することができましたが、やはり人から人であるということ。
もちろん流通もそうであり、我々もその一人だと思います。そして最後の親がお客様になります。商品の価値観という面で本当に良い勉強をさせていただきました。

今回ESOTERIC(株)より町田本部長、そして営業の佐伯氏、徳永氏も同行いただき、弊社からは企画室の佐藤、そして5555 2Fの責任者の上遠野でお伺いをいたしました。

ティアックマニュファクチャリングソリューションズ株式会社の方々にはこの場をお借りして深く御礼を申し上げたいと思います。

また良い機会をいただいたESOTERIC(株)の担当者へも御礼を申し上げたいと思います。

「ものつくり日本」、そして「MADE IN TOKYO」

今後とも良い製品を世に生み出し続けていただきたいと思います。

2018年6月14日 Dynamic Audio 島 健悟

 

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